タイトルに書いた通り、 問題行動がある家族との 効果的な関わり方を学びたい方に、とてもオススメの本です。
書籍には「アルコール・薬物・ギャンブル」とありますが、それとは別の、例えば「不登校」とか「ひきこもり」とか、そのような ご家族の問題に悩んでいる方にも、とてもオススメです。
どんな所がおすすすめなのか、以下3つに分けてご紹介しますね。
(1)どんな人におすすめか?
(2)どんな内容なのか?
(3)章立てから見る7つのステップ
(1)どんな人におすすめか?
・ご家族が「アルコール依存、ギャンブル依存、薬物依存」などの問題を抱えている場合は、まさにドンピシャでおすすめです。
・扱いにくい子どもや 部下との関わりに悩む、親御さん、管理職、指導者の方にもおすすめです。
・ご自身が、「正しさにこだわってしまう」「小言や説教が多い」「おせっかい」「世話焼き」「尻ぬぐい」をしてしまうタイプの方。
そして、その問題を抱えているご家族のことで、ほとほと疲れ果てている・・・などのケースにも、とてもおすすめです。
・専門用語をご存じの方であれば、「共依存」「イネイブラー」「燃え尽き症候群」タイプの方にオススメだと思います。
(2)どんな内容なのか?
・「CRAFT(クラフト)」という、アメリカで開発された家族プログラムを、日本にあった形で、自習用ワークブックとしてまとめた書籍です。
CRAFTは、配偶者や親がこの方法を実践することで、治療を拒否していた依存症者が70%前後の確率で治療につながった、というエビデンス(証拠となるデータ)もある、有益なプログラムです。
・アルコールやギャンブル依存など明らかな問題行動でなくても、何らかの困った状況にある家族(配偶者や子どもなど)に、どう関わったら効果的なのか、そのコミュニケーションのあり方について、具体的に学ぶことができます。
・一般的な人間関係にも通じる、より良いコミュニケーションのあり方、関わり方のテキストとしても、有益な内容です。
・コミュニケーションスキルの「アサーション」の内容も含まれています。アサーションの要点が分かりやすくまとめられています。
・1~2時間あれば通読できてしまう分量です。ですが「自習ワークブック」ですので、ぜひ1章ずつ、自分の困っている人間関係について書き出し、検討して、実践に移しましょう!
使うことで真価を発揮できるワークブックです。
(3)章立てから見る7つのステップ
本書は7つの章で書かれていますが、それがそのまま、取り組んでいく7つのステップになっています。
どんな内容かイメージしやすいように、こちらに引用して紹介します。「→」の後の説明は、私のコメントです。
【1】状況をはっきりさせよう。
→問題解決のために、状況を整理し、把握することを促しています。
【2】安全第一(暴力への対策)
→暴力などの問題がなければ、この章は目を通すだけでよいと思います。逆に暴力の問題がある場合は、何はさておき「最優先は安全確保」です。そのための具体的な提案が書かれています。
【3】コミュニケーションを変える
→アサーション(自分も相手も尊重する形の自己主張スキル)の具体的方法を紹介しています。自分の関わり方次第で、相手の反応も変わるわけです。
【4】望ましい行動を増やす方法
→困った行動ばかりが目に付くからこそ、意識して、プラス面を探し、それを伝えることが大切です。
【5】イネイブリングをやめるとは?
→「イネイブリング」…よかれと思ってやっていても、結果的に問題を進行させてしまう行動のことです。おせっかいや尻ぬぐいなどの行動が、それに当たります。この視点はとても重要です。
【6】あなた自身の生活を豊かにする
→家族の問題に取り組むためにも、まずは 自分自身の余裕、エネルギーが必要です。家族のためにも、まずは 自分を大切にすることが強調されています。
【7】治療をすすめる
→依存症や引きこもりなどの問題を抱えている、その当事者に、適切な治療の場、あるいはサポートを受けられる場所に繋がってもらうことは、欠かせない要素です。その勧め方について、最後の章で紹介されています。
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個人的には、とてもオススメな本です。
専門書なので、一般書店にはなかなかないかも知れませんが、上に挙げたような家族の問題で悩んでいる方、ぜひ一読をおすすめします。