はじめに

一般の方からすると、病院(精神科や心療内科)と、民間のカウンセリングルームの違いは、よく分からないかも知れません。
病院に行けば、「薬だけじゃなくて、きっと精神科医が、時間を掛けてじっくり話を聴いてくれるはず。カウンセリングしてくれるはず。」…と信じている方もいらっしゃいます。

また、行政の相談窓口とか無料の電話相談で行っている「一般的なカウンセリング」と、こちらのような「結構な?値段で行う、心理カウンセリング・心理療法」について、違いがよく分からないという方も、少なくないようです。

そのような、一般の方には分かりづらい部分について、私なりにここで説明できたらと思います。そして説明する切り口として、「カウンセリング」・「心理療法」・「医療行為」の3つの違い、という形で説明したいと思います。

【目 次】
・はじめに(上記)
・3つの心理サポート
・アイバランスは、カウンセリングと心理療法
・医療行為とは
・一般的なカウンセリング と 心理療法 のちがい
・一般的なカウンセリングとは
・心理療法とは
・アイバランスが提供している心理療法

3つの心理サポート

心理面の問題・悩み・症状を抱えている人に対して、その軽減や改善をめざして行うサポートを、ここでは「心理サポート」と呼びます。専門家が行う心理サポートは、大きく分けて、以下3つです。

カウンセリング、心理療法、医療行為

(※心理療法を英語で言うと、Psychotherapy(サイコセラピー)です。”心理療法”も ”サイコセラピー”も ”心理セラピー”も、全て同義語になります。)

ポイントは、「カウンセリング」と「心理療法」「心理療法」と「医療行為」が、一部 重なっているところです。

アイバランスは、カウンセリングと 心理療法

そして、アイバランスが 提供する心理サポートは、以下の通りです。
医療行為は行いませんが、カウンセリングも 心理療法も行います。(ここではあえて、カウンセリングの部分を「一般的なカウンセリング」と表現します。理由については、この後 くわしく説明します。)

カウンセリングと心理療法、医療行為の違い

医療行為とは

心理サポートにおける「医療行為」。
大きなものは、「診断」「薬の処方」です。

あなたはうつ病ですとか、〇〇障害ですとか、そのような「診断」ができるのは、医師になります。ですから、自分の状態に診断をつけてもらいたいとか、学校や会社に「診断書」を提出する必要があるとかなら、病院に行く必要があります。民間のカウンセリングルームでは、診断はできません。

また これは当然ですが、薬の処方ができるのは医師だけです。例えば、眠れない状態が続いていて、睡眠薬を処方してもらいたい。過呼吸発作が起きるくらい不安が強いので、一時的にでも不安を落ち着けるお薬が欲しい。うつ病なので抗うつ薬を処方してもらいたい。・・・そのような対応は医療行為となるので、やはり医師しか出来ません。

なお、医療行為ではありませんが、「心理カウンセリング」や 何らかの「心理療法」を、病院で提供することもあります。ただし、これらは医療行為ではないので、医療保険が効かない ことがほとんどです。(2010年4月から、認知行動療法が保険適用となりました。しかし、保険適用となる認知行動療法を提供してくれる病院は、かなり少数派なのが現状です。)

精神科医が直接、心理カウンセリングや心理療法を行う事例は、少なくとも茨城県近隣においては、ほとんど聞いたことがありません。正確な統計は取っていませんが、私がこれまでクライアントさんに伺ったご報告によると、8~9割の病院では、薬を出す「薬物療法」がメインで、丁寧なカウンセリングや、薬に頼らない心理療法は、してもらえなかった。してもらえない。…というご報告がほとんどでした。

一部の医療機関では、精神科医とは 別の心理スタッフ(臨床心理士など)を雇っており、そちらがカウンセリングや心理療法を提供する分業スタイルを取っている所もあります。(病院のホームページなどを見れば、確認できると思います。)ただし、これら心理サポートは「医療行為ではない」ので、保険が使えず、希望者が自費診療(全額負担)で受けていることが、ほとんどのようです。そうなると、負担する金額は、民間のカウンセリングルームとそれほど変わらない、ということも多いようです。

通院中の方へ

「一般的なカウンセリング」と「心理療法」のちがい

では、医療行為ではない、「カウンセリング」と「心理療法」とは、どんなものなのでしょうか。
この両者は、それぞれ 別のものなのでしょうか。

私は冒頭で、心理サポートを「カウンセリング」・「心理療法」・「医療行為」という3つの形に分類しました。
ですが実は、「カウンセリング」と「心理療法」を2つに分けるかどうかは、議論が分かれる所です。「カウンセリング=心理療法」とか、「カウンセリングも心理療法の1つ」とか、そのように考えても、間違いではありません。

ですが、ここではあえて、カウンセリングを「一般的なカウンセリング」という言い方にして、分けて説明したいと思います。その方が、お客様やクライアントさんの感覚としては、きっと分かりやすいと思います。そして、誤解も避けやすいでしょう。

改めて、「一般的なカウンセリング」と「心理療法」、この2つの違いを 私なりにまとめると、以下のようになります。

カウンセリングと心理療法のちがい

一般的なカウンセリングとは

日本においては、「カウンセリングとは、カール・ロジャースが提唱した”非指示的カウンセリング” や ”来談者中心療法”の形を取っているものが、カウンセリングである。」と信じている専門家が少なくありません。非指示的カウンセリングや来談者中心療法は、その名の通り、「カウンセラーが指示やアドバイスを与えない」「あくまで来談者(クライアント)が中心で、カウンセラーは寄り添って付いていくだけ」という考え方をします。

そのことから、「カウンセリングでは、クライアントにアドバイスをしてはいけない! とにかく受け身に徹して、傾聴しなくてはいけない!」と信じてカウンセリングをしている人もいます。
同時に、相談をしたクライアントさんの方では、「じっくり話を聴いてもらえたけど、ただ話を聴くだけで、何もアドバイスしてもらえなかった」と、物足りなく感じるケースもあるようです。

なお、カウンセリングに限らず 他の心理療法においても、クライアントさんのペースを大切に、寄り添い、共感して関わっていく姿勢は、とても大切です。ですが、アドバイス等をすることが全くダメかというと、実は、そうでもありません。同じカウンセリングでも、流派や理論によって、だいぶ違うのが実際のところなのです。

・・・という前置きをお伝えした上で、ここでは、日本ではこれがカウンセリングだと一般的に思われている、「非指示的カウンセリング」「来談者中心療法」的カウンセリングを指して、「一般的なカウンセリング」と表現します。

カウンセリング

改めて、「一般的なカウンセリング」は、以下のような特徴があります。

・「聴く」ことで、相談者の自己探求・自己解決をサポートする。
・「対話」が中心である。
・カウンセラーは、共感・受容という「受け身」の姿勢である。

カウンセリングは、相談者の中に元々ある、答えや 自己解決できる力を、引き出します。
話している人は、自然に思いつくまま話しているようでも、カウンセラーの絶妙な聴き方、寄り添ってくれる態度、共感、ポイントになる所の伝え返し、あるいは質問や要約でもって、様々な気づきを促されます。また「話す」ことで、気持ちや考えが整理されたり、消化されたり、癒されたりする効果もあります。

本当に上手な聴き方、カウンセリングがなされれば、多少時間は掛かっても、本当に「一般的なカウンセリング」だけで、だいぶ多くの心の悩みが、実際に、解決したり、軽減されたりします。
私も、カウンセラーとしての臨床経験は10年以上になりますが、「聴く」「寄り添う」というシンプルな行為の、奥の深さ、効果の大きさには、驚くこともあるくらいです。ですが同時に、下手なカウンセラーや聴き方だと、「ただ話を聞いてもらった」という感覚だけで終わってしまうことも、実際あるだろうと感じています。

そのような訳で、カウンセラーの力量とか相性にもよると思いますが、「一般的なカウンセリング」だけでも、かなり奥が深く、効果はあるものです。

ですが同時に、臨床経験を重ねて強く実感しているのは、次のことです。

相談者の抱えている問題や状態、深刻度によっては、「聴く」というカウンセリング・アプローチだけでは、間に合わない。それだけでは、とても対応できないケースが ある。

心理療法とは

「一般的なカウンセリング」に対して「心理療法」は、その人の心の問題や症状を「改善する」ために、支援者が能動的に働きかける部分がある、心理サポートです。

改めて、先に出した図を再掲します。

カウンセリングと心理療法のちがい

心理療法(心理セラピー)の部分を、下にも書き出します。

・「治療」「改善」を明確にめざす。
・対話だけでなく、行動、アート、音楽、タッチなど、療法によって、様々にアプローチする。
・セラピストは、共感・受容を大切にしながらも、相談者に「能動的」に働きかける。

世の中には、いろいろな療法、いろいろなセラピーがあります。
先にあげた「認知行動療法」もそうですし、「音楽療法」や「絵画療法」、「タッチセラピー」、「アロマテラピー」や「アニマル(動物)セラピー」だって、セラピーの1つです。例え、〇〇療法・〇〇セラピーという名前を取っていなくても、世の中にはたくさんの、治療や改善を目指した「療法(セラピー)」があります。

そして、人やモノに相性があるように、その人の悩みや状態、個性によって、合う療法と合わない療法があるのです。

でも いずれにしても、それぞれの理論やアプローチでもって、相談者の悩みの「改善」を明確に目指すのが、心理療法です。

アイバランスが提供している心理療法

改めて、アイバランスが提供している 主な心理療法(心理セラピー)は、以下の通りです。

・SE™療法(ソマティック・エクスペリエンシング®療法)
・認知行動療法
・ゲシュタルト療法
・DARE®療法(Dynamic Attachment Re-patterning Experience®療法)

各心理療法について、詳しく知りたい方は、下記ページよりご確認ください

アイバランスのアプローチ

大変長文な説明になってしまいました。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

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