認知行動療法(CBT)とは

認知行動療法(CBT/Cognitive  behavioral  therapy)とは、どんなものか。私なりに一言で言うと、以下の通りです。

「認知」と「行動」に注目して、
 (1)アセスメント(観察・理解)
 (2)検討
 (3)行動または練習
という3ステップで、問題解決をめざしていく心理技法の総称。

上のまとめを踏まえて、ここでは、以下3つのポイントを説明していきます。

【1】認知行動療法は、「認知」と「行動」に注目してアプローチする、心理技法の総称。
【2】認知行動療法は、See→Plan→Doで、問題解決をめざしていく。
【3】認知行動療法は、主体的に「取り組む」姿勢が必要。


【1】「認知」と「行動」に注目してアプローチする、心理技法の総称

まず「認知」とは、その人の「ものの見方や考え方、頭に浮かぶイメージ」などのことです。「行動」はその名の通り、その人が「実際にとる行動」のことを指します。

そして認知行動療法は、実は、1つの技法・1つの療法を指す言葉ではありません。「認知」や「行動」に注目してアプローチする、いろいろな心理技法・療法の「総称」なのです。

まず、「第一世代」「第二世代」「第三世代」という、3領域があります。(「世代」というのは、第1→第2→第3と発展してきたから。でも、第1世代が第3世代に劣るという訳ではありません。)そして、それぞれの世代(領域)の中に、さらに、別々の心理技法が存在します。(下図参照)

アイバランスでは、お客様の悩み・個性・状態などに合わせて、第1世代、第2世代、第3世代、いずれの認知行動療法についても、選択肢に入れる(あるいは部分的に採用する)ことがあります。

【2】See→Plan→Doで、問題解決をめざしていく

「See→Plan→Do」という言い方は、分かりやすさを優先して、私が勝手に作った言い方です。
一般的には「Plan→Do→See」ですね。ASCII.jpデジタル用語辞典によると、「Plan‐Do‐See(ぷらんどぅーしー)」は、「計画、実行、評価というサイクルを繰り返して、課題解決を図ること」とあります。認知行動療法では、これを「See→Plan→Do」という順番で繰り返して、問題解決を図っていくのです。


まずは「See」(現状を観察して理解すること。アセスメントすること)。認知行動療法では、このSeeが、とても大切だと言われています。そしてこのSeeをする時に、認知行動療法ならではの見方(モデル)で、観察・理解するのです。
モデルの1つは、「ストレス刺激(状況)」→「ストレス反応」という見方。もう1つは、この「ストレス反応」の所をさらに4つに分け、「認知」「行動」「気分・感情」「身体反応」の4要素が、相互に関係して悪循環を作っている、とする見方です。

このSee(アセスメント)、これを丁寧にしっかり行うだけでも、いろいろな気づきがあったり、意識が少し変わったりすることがあるのが、面白い所です。

次に「Plan」(問題解決のための対策検討)です。Seeで理解・分析したことを元に、対応策を考えます。この時、カウンセラーと一緒に、各技法の知恵や方法も使って、協同作業で検討することがポイントです。そしてこの検討の際、認知行動療法では、先の4要素のうち「認知」と「行動」の部分が、手を入れられる所・工夫ができる所だと考えます。認知面と行動面で、改善できる部分がないか、自分に出来ることはないかを、検討するのです。

最後に「Do」。行動や練習です。Planしたものを、行動に移す訳です。この時、試すつもりで「行動」したり、無理のないできる範囲から、少しずつ「練習」したりすることがポイントです。

こうして、この「See→Plan→Do」というサイクルを、カウンセラーと一緒に相談して繰り返し、問題解決をめざしていくのが、認知行動療法の一般的な進め方と言えるでしょう。

アイバランスの基本メニュー

【3】主体的に「取り組む」姿勢が必要

ここまでの説明でも 何となく想像がつくと思いますが、認知行動療法には、「主体的に取り組む姿勢」が必要です。

基本的な認知行動療法では、セッションで話し合ったことを元に、次回までのホームワーク(宿題や課題)が出されます。

例えば、最初のSee(アセスメント)の段階では、自分がストレスを感じる状況について、観察してきたり、記録をとってきたりするホームワークが出されます。次回、その観察や記録をもとに、カウンセラーと一緒に、Plan(計画)を立てる訳です。この時も、カウンセラーに計画を立ててもらうとか、教えてもらうとかではなくて、一緒に考え、アイディアを出し合う「協同作業」の姿勢が大切です。
また、Do(行動・練習)の段階で、日常生活での実践・練習が課題に出るのは、当然ですね。そうして行動や練習をしてみて、実行できたか出来なかったか、上手く行ったか行かなかったかを、次回また報告してもらう。それをもとにまた計画を立てる・・・この「See→Plan→Do」のサイクルを回すために、どうしても、クライアントさんが主体的になって取り組む姿勢が欠かせないのです。受け身の姿勢ではダメなんです。

認知行動療法に限らず、クライアントさんの問題解決や悩み解決のためには、ご本人が主体的に取り組む姿勢は重要です。そして、特に認知行動療法においては、それが顕著に重要なのです。

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